絡新婦の理

 京極夏彦は神。
 やはり予想通り最後の台詞は「あなたが蜘蛛だったのですね」だったんだけど、背筋に電流が走る思いでした。 なるほどなるほど。
 でもリバース推理ってわけじゃありませんが登場した瞬間に、こいつが蜘蛛だ、って分かったんですけど。 わりと露骨だったのも手法の一つだと思うんですが、これがもうちょい捻りがあると面白かったかもしんない。
 やはりこのシリーズで一番輝いているのが榎木津だよなぁ。 ああそういえば真犯人は榎木津の能力を知っていたのか。 その上で対策打ってたんだから、事件の真犯人としては凄腕だろうなぁ。 某冥王星よりも素晴らしい犯罪計画を立てられるのではあるまいか。
 京極さんの凄いのは、なんといっても独特の雰囲気を作るってところだと思う。 状況設定や展開を作る力が物凄い。 まぁ場面が飛び飛びになるのはしょうがないっちゃしょうがないのかもしれないけど。
 内容の方なんですが、木場ってこんなに賢かったっけ? めっちゃ有能だよな。 今回は扱いがだいぶ良かった。 今川もかなり頭のキレるやつだし、代わって伊佐間は微妙な感じ。 こういう微妙な感じの役は関口くんに押し付ければいいのだが、引きこもりなので蜘蛛屋敷にたどり着くことはないだろうしなぁ。
 しかしこうも関口が事件に関わってことないってのは、真犯人の思惑通りにあったのだろうか。 一切関口に絡んでこないってのは不自然だ。 伊佐間の役が関口であっても進行したのだろうけど、なぜだろうねぇ。
 あと、呉さんのおじいちゃんがかっこよかった。 あれ。 仁吉おじいちゃんっていつ「この世には〜」の台詞を聞いたんだっけ。 微妙に覚えてないぜ。
 兎角、面白かったです。